2/27にXR Nightsというイベントに参加、運営お手伝いをしました。日本では少し珍しい、英語ネイティブによるXRコミュニティのイベントですので、内容を簡単に紹介いたします。
- 1. XR Nightsとは?
- 2. 当日のイベント概要
- 3. 講演
- 4, デモ
- 5. おわりに
1. XR Nightsとは?
XR(Augmented Reality、Virtual Reality、Mixed Realityなどの総称)に関するコミュニティです。以前はVR Hub Tokyoという名前でしたが、VR以外も対象にすべく、今回より名称が変わりました。
HPはこちらです。年に数回のmeet upを開催しています。
Tokyo's International VR / AR Meetup and Community | VR Hub Tokyo
1つの大きな特徴として、XR Nightsは英語で進行するイベントです。参加者の半数以上が、日本在住の外国の方のためです。そのため、日本の技術コミュニティとは少し異なった視点の講演、交流ができます。
コミュニティの詳細は下記の「1. Impact Hub Tokyoについて」、「2. VR Hub Tokyoについて」などをご参考ください。
VR Hub Tokyo #3 でUnityに関する発表をしてきました - CrossRoad
2. 当日のイベント概要
会場はこのような様子です。だいたい30名前後の方が参加されました。感覚的には7割近くは外国の方だったと思います。
講演の後は、懇親会も開催されました。
3. 講演
3.1 Using Brain-Computer Interfaces (BCI) in VR (芝浦工業大学 堀江亮太 准教授)
脳波を使ったVR向けユーザインターフェースに関する講演です。講演では、BCIの基本的な考え方や研究事例の紹介をされていました。ここでは研究事例の画像を中心に紹介いたします。
3.1.1 ラジコン操作の例
念じる、集中することでラジコンを動かしています。前進、後退、旋回が可能とのことです。
3.1.2 画像認識した家電を脳波で操作する例
念じる、集中することで、目の前の家電をコントロールしています。家電はHMDの画像認識で識別しています。
3.1.3 VR向けBCIの構成例
脳波センサー値をAndroidタブレットで取得し、Wifi/bluetoothでPCに送信しています。他にも、VRとBCIの例としてデモを展示されていました。詳細は4.1で解説します。
堀江研究室では、simple、cheap、praticalを目指しているとのことでした。家電操作など、実際の生活に近いところを検討されてますし、こういった技術が未来の生活を変えていくことになりそうで、楽しみですね。
3.1.4 参考リンク
堀江研究室
生体通信工学 研究室 | 芝浦工業大学 工学部 情報通信工学科
A hands-on game by using a brain-computer interface, an immersive head mounted display, and a wearable gesture interface (2017)
A hands-on game by using a brain-computer interface, an immersive head mounted display, and a wearable gesture interface - IEEE Conference Publication
Game Systems by Using a Brain Computer Interface and Mixed Reality (2018)
Game Systems by Using a Brain Computer Interface and Mixed Reality - IEEE Conference Publication
3.2 Current state of XR (VR / AR / MR); how it will evolve with forthcoming technologies such as 5G and IoT sensor devices, AI and Edge Computing; and what we can expect to see this year (Symmetry Dimensions Inc. 沼倉正吾 CEO)
こちらは、最新の技術からこれから世の中がどうなっていくのかを解説する講演です。講演では、最近の技術トレンドである5G、IoT、AI、Edge Computingが、XRとどのように関連し、リアルな世界(フィジカル)とバーチャルな世界(デジタル)が融合する「Digital Twin」で生活がどのように変わっていくのかを解説されていました。
XR Nights “Future of VR” 「XR」「Iotセンサー」「5G(edge computing)」「AI」etc...で訪れるデジタルツインの世界のお話をしました。 pic.twitter.com/U3QOONv5zO
— 沼倉正吾 Shogo Numakura (@ShogoNu) 2019年3月3日
講演スライドは後日公開予定とのことですので、ここでは用語説明を中心に解説します。講演スライドがアップされたら追記します。
3.2.1 Digital Twin(デジタルツイン)
「デジタル・ツイン」とは、「デジタル」を用いて作成された、現実世界の物理的なシステム等についての「双子」。換言すれば、車やエンジンのような物理的なオブジェクトについて、非常に正確に作成された仮想モデルのことです。
引用元:デジタル・ツイン〜2019年に調査するべき戦略的テクノロジー・トレンド | IBM ソリューション ブログ
講演ではこのように定義されていました。
こちらの記事をみると、2003年にミシガン大学のMichael Grieves教授がデジタルツインの概念を提唱とありますが、参照先がリンク切れのため正確なところは不明です。
注目が集まる デジタルツイン !製造業の活用事例と今後の可能性
3.2.2 Digital Twinの例
FIFAは、選手の動きをセンシング、センシングの分析結果から監督が選手交代の指示を送るなどの仕組みを作りました。コンセプトビデオがこちらです。
(FIFA要請により、埋め込みリンクでは再生できないようです。リンクからYou Tubeサイトへ移動して閲覧をお願いします)
その他、製造業を中心に、活用範囲が広がる可能性がありそうです。
3.2.3 Digital TwinとXR
XRはデジタルツインで構築された2つの世界の情報をわかりやすく伝える手段として活躍するようです。たしかに、リアル世界のセンシングデータを元にVR空間を作れば、VR空間内の制御はVR機器が適しています。また、VR空間内の分析結果を元に現実に情報を重畳すると、AR、MRが情報の確認手段として適しています。
なお、沼倉氏がCEOを務めるSymmetry Dimensions Incでは、「SYMMETRY」というソフトウェアソリューションを扱っています。これもデジタルツインの一環と言えそうですね。
3.2.4 参考リンク
SYMMETRYの概要
ディヴァース、 建築設計業向け 「SYMMETRY 製品版」を発売|シンメトリーのプレスリリース
4, デモ
当日は、2つの講演の後でそのまま懇親会になりました。懇親会では、4種類のデモが展示されていました。
4.1 脳波とVR
堀江研究室による、2種類のVRデモです。
4.1.1 ユニティちゃんダンスへの反応を可視化するデモ
VRヘッドセットと脳波センサを装着してユニティちゃんのダンスをみます。いいなと思った脳波を検出すると、感動の度合いに応じてにハートが混じったり桜の花びらが舞い降りるものです。
画面の写真を撮り忘れてしまいましたが、ユニティちゃんのダンスはこちらをベースにされています。Unityを使っている方はよくご存知だと思います。
いいなと思うときの脳波の値が人によって異なるので、より正確に検出するには個別のキャリブレーションが必要とのことです。
4.1.2 ドラゴンと戦うゲーム
VRヘッドセット、脳波センサ、MYOを装着してドラゴンと戦うゲームです。MYOを装着した手を振ると火の玉を飛ばすことができます。
また、脳波センサが集中状態を検出すると、自分の周りにオーラが出ます。その状態でMYOを装着した手を振ると、バリアがでます。バリアがあればドラゴンの攻撃を防御できます。
ドラゴンだけを見続ける、1つのことを考える、のようにすると、かなりタイミングよくオーラを出すことができました。「気を集中する」のようなことができてとても楽しかったです。
MYO:筋電位を検出する腕輪型のウェアラブルデバイスです。現在は生産が終了しています。
4.2 ProTube VR
VRコントローラ用のアタッチメントです。2019のQ1に日本でもサービス開始とのことです。
ProTubeVR : Vr rifle for Oculus, Vive & Windows Mixed Reality
ざっとみると、ガンシューティング系のVRゲームに合いそうなアタッチメントが50〜100ユーロ前後で売っていました。どんなものかは下記の動画を見るのがわかりやすいです。
前半はセットアップの説明で、4:50付近からゲームプレイ動画です。ここを見るとイメージがわかります。HTC VIVEのコントローラを2つくっつけることで、ゲーム中の銃に近い持ち方ができるようになっています。
なお、「Tube」とありますが、この製品はYouTuberとは無関係です。
2019/3/16追記
日本語のページを紹介されましたので掲載します。日本でも購入可能になったとのことです。
引用:プロチューブVR - InfoPocket - InfoPocket インフォポケット
「プロチューブ VR」は銃型、「プロセイバー」はソード型のアタッチメントですね。VRコントローラの機種によって値段が変わっています。家庭用ももちろんですが、戦いもののロケーションVRでも有効だと思います。
4.3 Looking Glass
@decchiさんによる、Looking Glassのデモです。Looking Glassについてご存知ない方はこちらを参照ください。最近日本で盛り上がっており、勉強会も開催されています。
今日は目黒で行われているXRNightsでLookingGlassのゲリラデモをしてきました!fab cafe行けなくてごめんね!#LookingGlass #XRNights pic.twitter.com/6IGQWx46yw
— decchi (@decchi) 2019年2月27日
4.4 RGBカメラで骨格推定
@EL2031watson さんによる、RGBカメラで骨格推定を行うデモです。カメラだけで骨格推定はすごいですね。
XRNightsにてRGB単眼カメラから3次元人体骨格(xyz)をリアルタイム推定、Unity上で表示、さらに同じネットワーク内の他のPCに推定結果を飛ばすデモを行います。ちなみにGTX1070Max-Q搭載PCで10-20FPSぐらい出ます。認識精度はまあまあというところです。#XRNights pic.twitter.com/IelsUZEypG
— higrademe (@EL2031watson) 2019年2月27日
5. おわりに
XRNightsでは、開発手法から最新技術や動向の紹介など、幅広い範囲をテーマにmeet upを開催しています。英語が苦手でも通訳などのサポートがありますので、発表、デモ展示などに興味があれば、下記までぜひご連絡ください。
連絡先
Leonard Burton (@atomworks) | Twitter
Artis - XR Nights (東京都) | Meetup
※私(@WheetTweet)でもかまいません。