先日、xR Tech Tokyoが開催する『ARの教科書』輪読会で発表してきました。
輪読(輪講)とは、私が知る限りでは、あるテーマについて誰かが説明し、議論するというものです。大学の研究室ゼミでよく開催されています。今回の輪読会でも隔週ベースで2018年8月から各章の輪読が進んでいます。
また、勉強会はクラスター株式会社のclusterを使わせていただきました。clusterにより、このようにVR空間での勉強会で発表しました。
今回は、発表内容の概要と、輪講に使われた書籍『ARの教科書』について書きました。
1. 発表1「オーサリング」
全8回『ARの教科書』輪読会 @ cluster. #6 - connpass
『ARの教科書』10章のオーサリングについて発表しました。まず、オーサリングの定義です。
文字や画像、音声、動画など、いろいろな素材を組み合わせたソフトウェアを作成すること。 主に、Web上で動くアニメーションやDVDなどのマルチメディア・コンテンツを作ることを指し、一般的なソフトウェア開発(プログラミング)とは区別して使う。
引用元:オーサリングとは - コトバンク
『ARの教科書』でのオーサリングとは、プログラミング不要でARコンテンツを作る仕組み、と解釈すればよいです。詳細は発表内容をご覧ください。
www.slideshare.net
前半がAR用のオーサリングの考え方、後半は関連する論文の紹介、という流れです。個人的には後半の方が面白いと思いました。後半の論文は2000年代(今から20年近く前)のものが多いですが、2003年にはすでにMixed Realityという言葉があったり(今のMixed Realityとは意味が違っている可能性はありますが)、色々勉強になります。
2. 発表2「ソフトウェア構造」
全8回『ARの教科書』輪読会 @ cluster. #8 - connpass
『ARの教科書』13章のソフトウェア構造について発表しました。この章は分散システム、データフロー、シーングラフなどの技術用語が中心です。
www.slideshare.net
前半はARを使ったシステムを開発するための要件について説明、後半は具体的な技術用語について説明しています。最後の方は、開発するためのTipsのようなものが書かれていました。
3. 『ARの教科書』を読んでみて
まず、アカデミックな観点からARの歴史、使われてきた技術、関連する技術、開発方法を知るにはとてもよい本だと思います。膨大な参考文献が掲載されているので、それらを見ることで理解が深まります。
一方、英語の参考書特有の言い回しというか、意味がわかりづらい箇所もありました。この本の翻訳方針の1つとして、やや不自然なのを承知で日本語で表現している傾向があるためです。こういうときは原著を一緒に読むことをお勧めします。
原著のリンクです。kindle版ならばほぼ半額です。
https://www.amazon.co.jp/Augmented-Reality-Principles-Practice-Usability/dp/0321883578
ちなみに、kindle版で原著と日本語訳の両方を購入することができますが、参考文献にリンクが貼ってあるのは原著だけです。
4. おわりに
いつもと違ってアカデミックな勉強に挑戦してみました。輪読発表の準備のため、『ARの教科書』だけでなく関連する論文も多数読むことになりました。主に読んだのは自分の担当分野ですが、ARの技術的な歴史がわかり、とても勉強になりました。 読みづらいところもありますが、体系的に技術を理解するにはお勧めです。